プロジェクトマネジメントにおけるベースライン(プロジェクトベースライン)とは何でしょうか?
プロジェクトマネジメントにおけるベースライン(プロジェクトベースライン)とは何でしょうか?
プロジェクトマネジメントのベースラインは、明確に定義されたプロジェクトプランの開始点で、プロジェクトの進捗状況を測定し比較するための固定基準点になります。このベースラインを参考にしてプロジェクトのパフォーマンスを経時的に測定します。
貴社のプロジェクトが6週間以内の完了を目標にしていると仮定しましょう。これは大丈夫でしょうか?スケジュールのベースラインが4週間以内の完了となっている場合は問題となることが明確です。チームはプロジェクトの進行をスピードアップしなければなりません。
プロジェクトのベースラインには通常、スケジュール、コスト、スコープという3つの要素が含まれています。多くの場合、これらの3つのベースラインは個別に監視、管理、報告され、それぞれが順調に進んでいることを確認します。ベースラインが完全に統合されている場合は「パフォーマンス測定ベースライン(PMB)」と呼ばれます。
PMBを使うと、1つの要素の変更が他の要素に与える影響を効率よく監視し管理できます。ベースラインが統合されている場合には、例えばスケジュールの遅れがプロジェクトのコストにどのような影響を与えるかを迅速に把握することができるのです。しかし多くの企業はこの3つのベースラインを完全に統合するツールやプロセスを持っていません。
ベースラインは文書化して管理し、変更リクエストフォームや変更承認プロセスなどの正式な変更管理手順に従わずに変更するべきではありません。ベースラインを頻繁に変更すると、進捗状況の測定に使用することが困難になり、ベースラインの意味がなくなります。しかしプロジェクトが大きく変更された場合は、再度ベースラインを構築する必要があります。
この場合は測定に必要な新規のアップデートされたベースラインを構築します。ベースラインを再度構築する場合は、まずこれまでのベースラインを過去のデータとして保存し、新しいものを新しい計画として作成し、履歴データを失わないようにします。
プロジェクトマネジメントインスティチュート(PMI)はプロジェクトのベースラインをプロジェクトの試金石と称しています。これはすべてのステークホルダーがプロジェクトのベースラインを理解し、サポートすることが重要だからです。加えて、明確なベースラインの欠如は、プロジェクトが失敗する7つの原因の1つと見られています。
プロジェクトのベースラインが持つ3つのメリット
- 承認されたプロジェクトのベースラインには主なメリットが3つあります:見積もりの改善。実際のコストやスケジュール、スコープをベースラインに照らして評価することで、プロジェクトのパフォーマンスの程度を測定し、将来のプロジェクトのプラニングや見積もりの参考にすることができます。
- すぐれた業績評価。上記で説明しましたように、ベースラインはプロジェクトの進捗状況を測定する基準となります。この基準なしにはプロジェクトの進捗状況を比較することは困難です。
- アーンドバリュー(出来高)の計算。アーンドバリュー(EV)を使って実際の業績をプランに照らし合わせて比較しますが、これは単なる業績評価ツールではありません。プロジェクトのトレンドを分析し、プロジェクトに問題が発生する可能性を予測します。ここではアーンドバリューについて詳しく学びます。
プロジェクトのベースラインの欠如により発生する6つの問題点
- プロジェクトの強力なベースラインが欠如している場合、少なくとも6つの問題が発生する可能性があります:不十分なリソース配置。きちんとしたスケジュールがない場合は、いつ、どのようなリソースが必要であるかが明確にわかりません。
- スケジュールの遅れ(調達やマテリアル提供のタイミングの悪さなどが原因)。いつマテリアルが必要になるかが把握できていないと、注文するタイミングを逃してしまいます。数週間、数ヶ月前に注文する必要があるマテリアルの場合は特に、余裕をもって注文することが重要です。
- 品質管理の問題。スコープのベースラインが明確でないと、標準以上の品質を達成することができません。例えば、塗料が必要なことはわかっていても、その色や濃度を把握していなければ、顧客の品質基準を満たすことができないのです。
- きちんとした変更管理プロセスの欠如。ベースラインがきちんと構築されていないと変更事項の追跡やその管理が困難です。照らし合わせる基準なしには、成果物がプロジェクト開始時に求められていた水準を満たしているかどうかを判断することができないのです。
- 進捗状況を正確に報告する能力不足。先ほど述べましたように、比較するベースラインなしにはスケジュールに遅れが発生しているかを判断するのは困難です。
- 顧客および/またはスポンサーの不満。上で説明した5つの問題はプロジェクトの業績不振につながり、顧客やスポンサーをはじめとするステークホルダーの期待に応えることができません。
参考文献:
障害を取り除き、明確性を見出し、ゴールを超えていく
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